昔のような手の込んだ額縁も現代に流通している額縁もそれぞれの時代に沿ったものであることに変わりはなく、単純にそれらを比較するのは無意味といえるかもしれません。一方で全く変わらないとも言い切れないところが額縁の奥深いところと言ってもいいでしょう。
額縁に限らず絵画でも室内の調度家具にしても、そのあとさきを議論することの無意味さは研究者ならずともお分かりいただけることでしょう。しいて額縁の共通性をあげるならば、絵筆で描いたり、槌で彫りこんだりして作られるもの、という製作上で定義付けするしかないかもしれません。
それは額縁を類型化して分類することの難しさを意味すると言っても過言ではありません。それでもあえて額縁を定義付けしようとするならば、収めた絵画と一体不可分となった特性を有する特殊機能の一つとでもいうしかなそうです。