ヨーロッパの街並みに味や深みがあると感じるのは、そこに人々のこだわりがあるからなのかもしれません。彼らの暮らしぶりを垣間見てみると、自宅の壁には額縁に収められた家族、恋人、友人、ペットなどの思い々のこだわりの写真などが壁を埋め尽くし、古くても愛着のある自分自身が気に入ったものだけに囲まれて日々を暮らす人々の風景には、本当の心の豊かさが現れているような気がしてなりません。決して高価なものではなくとも、自分が気に入ったものであれば、とことん大切にして愛用する彼らの生き方には、現代の日本社会にはないものが生活のなかにちりばめられているようです。日本の大都市の街中を歩いていると、同じブランドの商品に身を包んだ、若者たちが陽気に会話している姿をみかけることがありますが、彼らの多くは高級ブランドのもつ本質的な価値を理解した上で、それらのブランド品を身に付けているのではないのであろうという気持ちにさえなってしまう人もいるのだとか。戦後の高度成長期のなかで、日本独自のモノへの価値観を私たちは失ってしまったなんて意見もあるようですね。

画廊生活 La vie de la galerie~トップへ